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大家族スペシャル、凝りもせずまだ続きます。
アホ管理人の悪ふざけにおつきあい頂ける方は、
「つづきはこちら」から、お願いします。
第2話 戦うおっかさん~家庭内の秩序は私が守る!(其の二)~
「「「「「「「「「いただきま~す!!」」」」」」」」」
やっと家族全員揃った、いつもの食卓。
いつもと同じ風景。
いつもと同じ顔ぶれ。
いつもと同じ一日が、今ここに始まる・・・。
「ひでぇや、かあちゃ~ん!」
「何もぶつことないじゃ~ん!」
「そうッスよ~ぉ。暴力反対ッス!」
他の家族のメンバーが黙々と朝食を口に運ぶ中、
バカ息子達の一斉ブーイング攻撃が始まった。
息子達の一斉攻撃に微塵も動じる様子を見せず、
母ライトは柳眉をくいっと釣り上げ、鋭く言い放つ。
「問答無用!」
その迫力に気圧され、途端に水を打ったように静かになるバカ息子達。
「お前達、また遅くまでくだらんTV番組を見ていたんだろう。」
母のカウンター攻撃に図星をつかれ、ぐうの音も出ない息子達。
「だからいつも私は言っているのだ。
くだらん番組を見る暇があるのなら、
さっさと寝て明日への英気を養うべきだと。
だいたいお前達はだな、いつも・・・」
一向に終わる気配のない母のお説教攻撃に、
「あ~あ、また始まったよ」とあきれたように顔を見合わせ、
肩をすくめる夫と子供達。
「あッ、やべっ!もうこんな時間かよ!!」
ガタンと大きな音を立て椅子から立ち上がり、腕時計を見ながらおおげさに叫ぶ
七男ジタン。
それを合図に、母の説教攻撃を逃れるチャンスとばかりに一斉に勢力を盛り返す
バカ息子達。
「ガッコに遅れちまう!じゃあな、か~ちゃん!」
くるりと身軽な仕草で踵を返し、テーブルの上に準備してある自分の弁当箱を
ひったくる三男バッツ。
「そゆことで!バスに乗り遅れるとヤバイから、俺もう行くッスよ!」
トーストを口にくわえたまま、走り出そうとする六男ティーダ。
「待て!まだ話は終わっていない。」
という母の言葉を背に、慌しく駆け出すバカ息子達。
「ほいじゃ母ちゃん、行って来ま~す!」
後に残された両親と兄弟達。
「まったくあいつらときたら・・・」
あきれたようにため息をつく母ライトに、ふと声がかけられた。
「ごちそうさま、母さん。」
振り向くと、次男セシルが柔和な笑みを浮かべていた。
「じゃあ、僕達も学校に遅れるといけないから、そろそろ行くね。」
母から弁当を受け取り、弟達と妹に目配せすると椅子から立ち上がり
行こうとするが・・・。
「待て。」
不意に母ライトから呼び止められた。
「出かける前に、これも持って行け。」
と手渡されたのは、何かがパンパンに詰まった大きなビニール袋二つ。
今日は可燃ゴミの収集日。
なんと言っても両親と8男1女、計11人の大家族が生活しているのである。出るゴミの量も半端ではない。
子供達は一人につき、当然の如く弁当とともに二袋づつゴミ袋が手渡された。
それはこの一家の一員として暮らしていく上で暗黙の了解なので、不平不満を言う者など誰もいない。
もちろん、一家の大黒柱とて例外ではなく・・・。
「ではわしもそろそろ行くぞ、母さん。」
「ああ、気をつけてな。」
190cm近い長身のライトがさらに見上げなくてはならない巨躯の夫。
自分を見上げてくる妻に軽く微笑み、彼のために僅かに身を屈める。
どちらからともなく、当然の如く軽いキスを交わす二人。
しかし、甘い雰囲気もそこまで。
「お前もだ。これも持って行け。」
弁当とともに突き出されたのは大きなゴミ袋。しかも3つ。
「あ・・・ああ、わかった。」
せっかくいい雰囲気だったのに・・・!と心の中でひとりごちるも元来ムードクラッシャーな武骨者の妻にそれ以上求めるのは酷というもの。
しかも輝くばかりの美貌の持ち主であるばかりでなく、家事も完璧にこなし、なおかつ子供達のしつけも決して手抜かりはない。
融通が利かないほど頑固者で生真面目過ぎるところがあるのは否めないが、自分にはもったいないほどよく出来たしっかり者の妻。
つくづく思うに、自分はかなりの果報者かもしれない・・・。
そもそも妻であるとともに、彼はこの大家族を切り盛りする母なのである。
しかも子供達は皆、一筋縄ではいかない曲者揃い。
綺麗事だけでは到底、太刀打ちできない。
そう自分に言い聞かせ、つかの間の幸福感に浸る父、ガーランド。
弁当とゴミ袋を受け取ると、天井に届きそうなほどの巨体を縮こませ、
いそいそと家を出て行った。
嵐のような慌しい朝の一時が過ぎ、家に一人ぽつんと残された母ライト。
家族11人が暮す家としては決して大きな家ではないのだが、
それでも夫と子供達がいなくなった後はさすがにがらんとしている。
夫の出勤、息子達と娘の登校を見届けると、おもむろに次の仕事に取り掛かる。
大家族の母親には、一時のくつろぐ時間など許されない。
これから待ち受けるであろう怒涛の孤軍奮闘を考えると気が遠くなりそうな自分を奮い立たせると、イナゴの大群が去った後もかくやというほどの朝食後の惨状を片付け始めた。
テーブルやら床やらあちこちにこぼれた牛乳やらジュース、散らかったパンくずや食べかすなどをぞうきんで拭き取り、山積された皿やら食器やらを洗いに掛かる。
本来ならば食器洗い乾燥機が欲しいところだが、食費やら子供達の養育費やら諸々の生活にかかる諸費用を考えると、そんな贅沢など言っていられない。
「走れ、光よ!」
くじけそうになる自分を叱咤し、猛烈な勢いで食器の山と格闘を始めた。
勇者の光の加護を受け、次々と輝きの白さを取り戻す食器たち。
記録的な速さで片し終わると、彼は地下のランドリールームへと続く階段を
降りて行った。
カチッ・・・。
真っ暗な地下室の灯りを付けると、途端に浮かび上がる巨大モンスターの姿。
地下室の天井近くにまで堆く積み上げられた、見るも恐ろしい洗濯物の山。
あちこち破れたTシャツやジーンズ、泥まみれのスニーカー、果てはぼろぼろになったモーグリのぬいぐるみに、元々白かったはずの襟足のファーがすっかり茶色く変色してしまったレザージャケット・・・。
なぜか壊れたスケートボードや穴が開いてすっかりしぼんだブリッツボール、読み古した成人雑誌まである。
「あいつらめ・・・!ここはゴミ捨て場ではないと何度言えば・・・!!」
一家の洗濯物は通常、キッチンの脇に設置されているダストシュートから投げ込むだけで、この地下のランドリールームに落ちてくる仕組みになっている。
だが見境もなく、なんでもかんでも放り込んでくる子供達に
静かな怒りを覚える母ライト。
目の前のモンスター・・・もとい洗濯物の山に轟然と言い放つ。
「そこをどけ。お前にかかわり、無駄な時間を過ごす気はない・・・輝きの刃よ!」
言うが早いか、光の速さで洗濯物とゴミを分別し、やっと半分の大きさにまで縮んだモンスターもとい洗濯物を猛烈な勢いで巨大な洗濯機に放り込む。
ギ・ギ・ギ・・・と苦しそうな声を上げ、なんとかモンスターの群れを飲み込んだおいぼれ洗濯機は、それでも健闘を続けている。
「悪いが、少し頑張ってもらう。」
そう言うと、勇者は地下室を後にした。
2010/01/17 大家族スペシャル Trackback() Comment(0)
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