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懲りもせず、まだまだ続きます。
外伝と言いながらも、もはやこっちのほうが本編になりつつある悪寒・・・orz
それでも、読んでやってもいいよ~~~って言うありがたい皆様は、
「つづきはこちら」から、どうぞ♪
大家族スペシャル外伝 黒い粉には手を出すな(中編)
「さっきはすまなかったな、母さん・・・?って、誰もいないのか。」
キッチンにひょっこり顔を覗かせたのは、チョコボを思わせる奇抜な金髪頭の青年。長男クラウドである。
先程から立て続けに母の頼みを断り続けているので、さすがにいたたまれなくなってきたようだ。
ふと、キッチンカウンターに目をやると、パイの具材が入ったボウルの傍に骸骨印の入った怪しい黒い瓶が・・・。
「しょうがない、頼み事を聞いてやるか。これがそうだな・・・。」
そう言うと計量を計ることなく、パイの中身に黒い粉を適当に振りかけると、何事もなかったかのようにキッチンを後にした。
次にキッチンに現れたのは、買い物から戻ってきた次男セシル。なにやら大きな筒状のものを抱えている。
クラウドから母の頼みごとを聞きつけ、やってきた。
持ってきた荷物をひとまず床に置き、カウンターの上に視線を移す。
「え~っと・・・。クラウド兄さんが言ってたのってこれだな。なになに・・・?適量を少々っと。」
生真面目な彼らしく使用上の注意に目を通し、きちんと適量を量ってデッドペッパーをパイの中身と混ぜ合わせた。
そしておもむろに床の荷物の包みを解くと、中から出て来たのはローラ・アシュレイの薔薇の刺繍が入った豪奢なレースのテーブルクロス。
大切なお客様が来るというので、新しいテーブルクロスを買いに出かけていたのである。
そのままダイニングへ行き、古いテーブルクロスを外して新しいテーブルクロスをダイニングテーブルに掛け直すと、満足げに頷いた。
「母さん、さっきはごめん・・・。」
続いてキッチンに姿を現したのは、四男フリオニール。
見事な大輪ののばらの花束を手にしている。
「なんだよ・・・いないのか。せっかくコレ、食卓に飾ってもらおうかと思ったのに。」
自慢ののばらを母に褒めてもらいたくって、しょうがないらしい。
仕方なく花束を花瓶に挿すと、ダイニングテーブルの中央に置いた。
「あ、そうだ。ついでにアレもやっとくか・・・。」
思い出したように件の黒い粉を取り出すと、豪快にボウルの中身にぶちまけた。
「これだけあれば、十分だろ。」
得意気に頷くと、キッチンを去った。
続いて現れたのは、長女ティナと末っ子オニオン。
リボンがやっと見つかったのか、ティナの綺麗な金髪もいつも通りきちんと束ねられている。
「リボン見つかってよかったね、姉ちゃん!」
「うん、これもあなたが一緒に探してくれたおかげよ。ありがとう。」
大好きな姉に褒められて、まんざらでもない末息子。
「ところで、フリオ兄ちゃんから聞いたんだけど、ママが僕らを探してたって。」
「そうなの。パイの中身にデッドペッパーを入れて欲しいんだって。」
ふと、カウンターに視線をやると、怪しげな黒い瓶が・・・。
「デッドペッパーってこれのことだよ。僕に任せて、お姉ちゃん。」
そう言うと、大匙に並々と怪しげな黒い粉を盛り、ボウルに放り込んだ。
ちゃんとママの言いつけを守ったぞ、僕はなんていい子なんだ!
母の喜ぶ顔を脳裏に描き、意気揚々と姉とともにキッチンを出て行った。
「たっだいま~~~ッス!」
最後にキッチンに現れたのは、六男ティーダ。
近所中ジョギングして来たので、頭のてっぺんからつま先まで汗びっしょりだ。
肩にかけたタオルで汗を拭きながら、キッチンを見回す。
「あれ?な~~んだ、母ちゃんいないのか。ん・・・・?」
ふとカウンターの上に目をやると、まだ料理途中と思われるパイの中身が入ったままのボウルと黒い粉の入った瓶。
「ま~~だメシできてなかったのか。それなのに出かけるなんて、しょうがないッスね~~うちの母ちゃんも。」
そう言うと、デッドペッパーをボウルの中身に勢いよくふりかけ、豪快に掻き混ぜ合わせた。
「楽勝ッスね!」
得意気にガッツポーズすると、キッチンを後にした。
子供達に続いてキッチンに姿を現したのは、ようやく一階の掃除を終えた母ライト。
パイの中身に起こった異変など、もちろん彼には知る由もない。
家中の掃除ですっかり汚れた手を綺麗に洗うと、そのままてきぱきとした手つきでダンプリング生地を作りにかかる。
小麦粉、ベーキングパウダー、塩をスプーンでよく混ぜ合わせ、バターを加えてさらに混ぜ合わせる。
さらに卵と牛乳を加え、耳朶程度の柔らかさになるまで手でよく捏ねて混ぜ合わせた後、打ち粉をした台の上に生地を移し、麺棒で引き伸ばす。
薄く伸ばした大きな丸い生地を二つ作り、そのうちの一枚をケーキでも作れそうなほど大きなパイ皿の底に敷き詰め、その上から先程作ったパイの中身を入れる。
中身を全て入れてしまうと、残ったもう一枚の生地を被せ、端をしっかりとパイ皿に貼り付けて蓋をする。
空気穴を数箇所開け、パイの表面にかき混ぜた生卵を刷毛でさっと塗る。
後はあらかじめ200度前後で予熱を済ませておいたオーブンに放り込み、パイが焼きあがるのを待つのみ。
こうしている間も、ぼやぼやしてはいられない。そろそろお客様が来てもおかしくない時間だ。前菜と飲み物を準備するとしよう。
それに地下に監禁している馬鹿息子どもも、今頃はきっと反省していることだろう。そろそろ解放してやるか・・・。
そう考え、地下へ降りようとしたそのとき・・・!
ぴんぽ~~~ん!
鳴り響く玄関のドアフォンの音。
玄関へ向かいドアを開けると、そこにいたのは・・・・。
「お久しぶりですね、ライト。」
控えめな微笑をたたえて、ライトをまっすぐ見つめる瀟洒な金髪の美女。
シンプルながらも上品な白いドレスに身を包み、すらりと立つその姿は神々しいほどに気品と威厳に満ちている。
その姿に恭しく一礼して手を差し伸べ、家に招き入れるライト。
「母上も相変わらずお元気そうで、何よりです。さあ、こちらへ・・・。」
そう、この美女こそ誰あろう、世界中にその名を轟かせるホテル・ディシディアの豪腕経営者にしてライトの実の母、コスモスその人であった。
「・・・では、しばらくはこちらへいらっしゃるのですね。」
リビングへ母コスモスを案内し、紅茶でもてなす。
全世界規模で事業展開している超大手ホテルチェーンの経営者であり、日々忙しく世界中を飛び回っている母が、ひとつところに滞在するのは極めてまれなことである。
「ええ、今までずっと働きづめだったんですもの。このへんで少しくらい息抜きしたっていいんじゃなくって?」
ソファに優雅に腰掛け、アールグレイのほのかな香りを楽しみながら、その端麗な顔立ちにふといたずらっぽい微笑を浮かべるコスモス。
こうして見ると、まるで少女のようだ。大きな息子と9人も孫がいるとは、とても思えない。
「あら?そういえば、孫達は?みんな元気かしら・・・?」
ふと思い出したように、尋ねるコスモス。
せっかくお祖母様が訪ねて来て下さったというのに、あいつらめ一体何やってるんだ・・・と、子供達を呼びに行こうとライトが椅子から立ち上がったそのとき。
バタバタと騒々しい足音を立てて、二階から小さな人影が駆け下りて来た。
「あっ、おばあちゃんだ!いらっしゃ~~~い!!」
リビングに駆け込んで来たのは、末息子オニオン。そのまま祖母に抱きつこうとして、母に阻止された。
「お祖母様、お久しぶりです。ごきげんいかが?」
弟を追いかけて降りてきたのは、長女ティナ。いつもよりもほんのちょっぴり背伸びして、大人びた仕草で挨拶する。
「なに?ばあちゃんが来てるって・・・マジっすか!?」
一階の騒ぎを聞き、バタバタと階段を駆け下りてくるのは、六男ティーダ。
それを合図に、他の子供達も次々とリビングに姿を現した。
庭から上がってきて来客に気付き、慌てて庭仕事で泥まみれになった手を洗いに洗面所へ駆け込んだのは、四男フリオニール。
「お久しぶりです、お祖母様。遠路はるばる、ようこそおいで下さいました。どうぞごゆっくりくつろいでいって下さいね。」
最後にリビングに姿を見せたのは、次男セシル。その甘いマスクにまばゆいばかりの微笑を浮かべ、貴公子じみた優雅な仕草で挨拶する。
子供達の登場で一気に騒然となるリビング。
「こら!ティーダ、オニオン、フリオニール!ちゃんとお祖母様に挨拶しないか。」
セシルとティナ以外の子供達を叱咤する母ライト。そんな彼をなだめるように微笑む祖母コスモス。
「まあまあ。子供は元気なのが一番ですよ。」
「すみません、母上。うちのバカ息子達が・・・。」
思わず苦笑する母ライト。
バカ息子といえば、そろそろバッツとジタンを解放してやらなくては・・・。辛抱強く、あの二人の見張りをしてくれているスコールは、もっと労ってやらなくては。
それに、長男クラウドがいつまでたっても姿を見せない。大方、またバイクいじりに夢中になっているんだろう。長男だというのに、本当に困った息子だ・・・。
リビングに現れていない、あと4人の息子達を呼びに行こうとした、そのとき。
玄関から、野太い大きな声が響き渡った。
「お~~~~い、今帰ったぞ!」
2010/03/12 大家族スペシャル Trackback() Comment(0)
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